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中小企業も経営手法として利用し始めたM&A
カテゴリ:
03.ニュースアンテナ
作成日:
07/16/2001
提供元:
税務研究会・税研情報センター
「M&A」とは、マージャーとアクイジション(Merger&Acquisition)の略であり、企業の合弁と買収のことである。
従来の中小企業経営者の鉄則では、自社の継続発展が絶対条件だったが、後継者難、不採算部門の保有、業界での生き残り等から、中小企業としても経営手法として正当にM&Aを利用する時代が到来している。
「M&A」とは?
1982年から86年にかけての5年間、アメリカで最も活発にM&Aが行われた。その背景としては規制緩和・税制改正・独禁法緩和があり、また投資機会の枯渇による資金過剰がある。この時期のアメリカのような状況が、日本でも揃いつつあり、「M&A」がニュースで取り上げられることも多くなった。
初めにM&Aの形態や方法を整理していく。
まず、「合併」があげられる。この「合併」は、法的(商法408条以下)には新設合併と吸収合併があるが、手続の面倒さから新設合併はほとんど無いようである。これは、吸収する側とされる側に分かれる形態である。
もう一つは、「企業買収」があげられる。「企業買収」とは、相手企業の株式・資産・営業権を買収することにより、事業を引き継ぐものである。方法として、(1)株式譲渡、(2)増資引受、(3)営業譲渡に分けられる。
(1)株式譲渡
買い手が代金を払って株式を譲り受ける形態(商法205条)がある。店頭公開している企業では、TOB(公開買付・証券取引法27条)により企業の買収が進められている。中小企業でも、後継者が不在の場合、適している方法と言えるだろう。
(2)増資引受
売り手企業が第三者割当増資などにより新株を発行し、買い手に引き受けてもらう形態(商法270条)である。株式譲渡と違い、売り手企業自体に買収代金が入るため、企業の活動資金に充てることができる。グループや親企業の傘下に入り、企業としての活動を継続する場合に有効である。この場合、売り手企業の代表者の去就が問題となる。
(3)営業譲渡
その業務だけと限定して営業権、工場、機器、実際の場合によっては人員(これは当然営業譲渡の契約外である)を売買(商法245条)するもの。
中小企業では、自社では有意義に活かせないが他社では活かせるという部門や、企業規模を縮小して身軽になる場合に利用できるであろう。
提携は広義の「M&A」
将来的に合併とか買収するが、とりあえず提携で仲良くなろうという形態もあると考えられるので、敢えて提携もM&Aの一部として触れてみる。「提携」の形態には、(1)業務提携、(2)資本提携がある。
(1)業務提携
新たな販売代理店、フランチャイズ、技術提携を結び、将来、営業譲渡やその他の方法により、その結束を強化しようとする場合、広義のM&Aに入ると考えられる。経営者として、将来方針の選択肢の知識として持っていると便利である。
(2)資本提携
既存会社において、将来のM&Aの相手先から資本を出資してもらうことは、傘下に入る第一歩。最近では、大企業が資本出資して資本提携し、自社の人員を派遣させる形態が増えている。
正当に評価されつつあるM&A
本来のM&Aの目的は、売り手側として、
(1)株式公開するより簡単にキャピタルゲインが得られる
(2)資本の受け入れによる財務体質の強化
(3)不採算部門の整理
(4)強力企業の傘下に入ることによる業界での地位の保全
が挙げられる。また、買い手側として、
(1)簡単に経営資源が得られる
(2)業界でのシェアの拡大
(3)事業の相乗効果が得られる
が挙げられる。
しかし、近年売り手企業では後継者不足、自社だけでの経営維持の困難さから進んでM&Aに取り組む企業も出ている。
また、中小企業にとってもM&Aは、経営方針の一つとしてクローズアップされている。従来の中小企業経営者の鉄則では、自社の継続発展が絶対条件だったが、後継者難、不採算部門の保有、業界での生き残り等々から、中小企業としても経営手法として正当にM&Aを利用する時代が到来している。
日本の企業形態が現れるM&A
M&Aが盛んなアメリカでは、株式保有者としての資本家、経営を委任された経営者、契約労働の雇用労働者に、それぞれの立場で権利と義務が明確化されている。そして、それが法制度や労働慣習になっている。つまり、資本と経営の分離が欧米的M&Aの原則なのである。それに対して、日本では特に中小企業では、経営者イコール資産家、そればかりではなく会社の資産イコール個人資産という状況が当然視されている。
「企業」という認識の差により、実際の日本のM&Aはさまざまな問題が起こっている。問題の中心は、残された社員、外注先、取引関係者である。売り手企業の社員はM&Aに遭うと「裏切られた」という気持ちを抱くようだが、M&Aの主旨から言うと"致し方ない"ということになる。当然、社員にとっては身分の保証もない状況になる。また経営者も個人事業所から法人化した場合など、会社所有地に会社名義の家屋敷がある場合があり、これを手放す必要もある。
こういった問題を避けるためにも、譲渡契約では、別途に売り手企業の社員の身分の保証等が盛り込まれる必要があるだろう。買い手の方は、メリットがある部分のみを買いたいはずであるから、M&Aの後、売り手企業の不要部分だけ切り捨ててしまうケースが多々あり、また当然予想される事態だからである。
現在、日本の中小企業でもM&Aの展開が広がってきている。これからも、技術力のある中小企業を欲しがる大企業と外資系の展開などが増えてくると考えられる。また、売り手の方も経営者のメリットとなる株式譲渡に応ずる経営者、潜在的にM&Aを実行したい経営者が今後も増えてくるであろう。
【ニュースアンテナ8月号 税研情報センター】